2013年10月01日

「9.11の12周年」に思う……『鐘撞き人』からのメッセージ(9)

ニューヨークの9.11から丸12年の歳月が流れた。今では、あの事件がジョージ・W・ブッシュ政権の「自作自演」の謀略説が高いことが、数々の証言で明らかになりつつある。この5月3日の「憲法記念日」に上梓された『鐘撞き人』は9.11事件を冒頭に、「歴史の闇」に隠された真実をあぶり出す内容へと複眼的に書き上げられた。

★この同時多発テロ事件は多くの教訓を生み出した。第44代米大統領オバマの本日の声明で、8月21日にシリア政府側で使用されたとされる生物化学兵器(サリン)への報復軍事行動について、ロシアも含めた外交的な交渉での解決の道筋も示した。これはイギリス議会で、軍事行動を否決した勇気ある議決があったためでもある。

★「あのWTCビルは、もともとジャンボジェット機が複数、突っ込むことがあっても壊れないよう、特殊な設計をしていました」とWTCを設計したレスリー・ロバートソン氏は明快にメディアの取材に答えている。このWTCの設計の責任者でもあった建築家が日本人の「ミノル・ヤマザキ」氏である。拙著でも彼の業績に触れた。

★もう一人の重要な証言がある。≪グランドゼロ≫を現地調査した物理学教授スティーブン・ジョーンズ氏によれば「飛行機が衝突して火災が起こったぐらいでビルが崩壊したとすれば、我々はニュートンの万有引力を否定しなくてはならない。実際、解体用爆薬のテルミットの反応があった。爆薬による破壊工作だった」との調査結果だ。

★あの地獄の現場で命がけの救助作業をしていたニューヨーク市消防署のルーイ・カッチョーリさんも当初、メディアに対して「爆発は、下から何度も起こっており、火災による崩壊よりも、建物内に爆弾が仕掛けてあると考えて救助していた」とも答えている。これら数々の証言から分かることは、明らかに「謀略」の臭いがする。

★先の重要証言をした人々は、政府の圧力によって大学教授を解雇されたり、配置転換されたりしていることを考えあわせると、9.11事件そのものがアメリカのエネルギー政策の中、イラク石油利権獲得のために、当時のブッシュ政権はウソの「大量破壊兵器」の存在を世界に吹聴して、軍事行動に突入していくカラクリがあるのだ。

★スペインのアルハンブラ宮殿の「夜警の塔」と「中世の誓いの塔」を模したWTCビルは。今年40周年を迎えるはずだった。しかし、自国の経済のために、いとも簡単にブッシュ政権の石油利権と劣化ウラン弾の捨て場所として≪文明発祥の地≫イラクを攻撃して、多くの子ども達に白血病で苦しむ大地へと汚した責任は大きい。

2013年(平成25)年9月11日 
「9.11の12周年」の日に 岳 重人
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映画「ダイアナ」に思う……『鐘撞き人』からのメッセージ(8)

ダイアナ元王妃の訃報が突然、世界を駆け巡ったのは1997年8月31日だった。16年前の出来事だったが、ロンドン警視庁が今夏の8月17日、ダイアナ元皇太子妃の死去をめぐって「新たな情報」を最近入手した、とのことだ。やはり、英紙「デーリー・テレグラフ」によれば、英陸軍特殊部隊(SAS)による関与説が浮上した。

★すでに2008年に英国での死因究明審問では「過失による交通事故死」との公式結論を出しており、本当の原因は闇に葬られていた。当初、パパラッチがダイアナ妃を乗せた車の運転手がスピードを出し過ぎた上に、彼は泥酔していた、との理由が挙げられていた。

★この秋10月18日から映画『ダイアナ』がナオミ・ワッツ主演で公開される。この物語は「ダイアナはなぜ暗殺されたか」のヒントに満ちている。映画はそのような意図で撮影されたわけではないが、英国王室にとって「不都合な真実」をダイアナが振りまいていたことがわかる。それは、パキスタン人のカーン医師との交際である。

★ダイアナは外科医カーンの人柄に触れ、人々の命を救う現場にも立ち会って、ますますカーン医師とも親密になり、何でも相談する関係になる。そして、パキスタンのカーン家族と彼の母親にも、将来の結婚を考えて異国の地に会いに行く。そこには、人種と民族の乗り越えられない大きな壁があることをダイアナは感じるのだった。

★心の孤独感を深めたダイアナは、カーン医師に相談しつつ、「人の命を救う」ための人道活動にのめり込んでいく。アンゴラの対人地雷禁止とその撤去活動に命をかけて、彼女のネームバリューによる影響力を積極的に活用して発信していく。それを苦々しく陰で思っていたのが、英国王室と政府の軍事組織の英国陸軍特殊部隊だ。

★ナチスドイツのユダヤ人大虐殺「ホロコースト」だけでなく、あらゆる人種問題を『鐘撞き人』で「アンネの日記」などを引用しながら、深く掘り下げた。英国王室はドイツ系民族の血が流れている。だからヒトラーは、イギリスには常に同盟国的な親近感を持ち続けていたが、チャーチル首相がヒトラーの片思いを完全に打ち砕いた。

★アラブ人もユダヤ人も人種差別主義者にとっては同じだ。人種問題の深さがここにある。民族の違う子ども出産への反発と軍需産業の権益の「踏み絵」に片足を踏み入れた邪魔者ダイアナは暗殺の対象になった。ダイアナの死から3か月、対人地雷禁止条約が成立して、現在までに161か国が調印している。彼女の遺言が実った。

2013(平成25)年8月31日
「ダイアナ暗殺」の日に 岳 重人
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「はだしのゲン」に思う……『鐘撞き人』からのメッセージ(7)

漫画家中沢啓治さんの『はだしのゲン』が松江市教委の福島律子前教育長によって閲覧制限図書になった。そもそも新大久保などで在日コリアンへの排撃を掲げ、ヘイトスピーチで悪名高い「在特会」のメンバーが、『はだしのゲン』の残虐さは子ども達に恐怖心を与え、歴史認識においても不適切だ、と陳情書を市教委へ提出した。

★当初、市議会の対応は全会一致で陳情書は不採択。担当者も「撤去はしない」方向で進めていたが、教育長の独断で憲法21条「表現の自由」が侵されるのは、第二次安倍政権になって「自虐的歴史観を追放しろ」という雰囲気が立ち込めていることだ。それらが市教委にも小中学校の現場でも、大なり小なり心的圧力をかけている。

★この秋、「秘密保護法案」が上程予定だ。また、年内には日本版NSC(国家安全保障会議)をアメリカの圧力から創設される。そうなると、マスメディアでさえ調査報道のために資料請求も政治家や官僚の取材も「国家機密」ということで情報統制が行われ、70年前の「大本営発表」の状況に陥る。物言えぬ雰囲気が完全構築される。

★この春「憲法記念日」の5月3日に上梓した『舟曳き人』第U部(愛と平和)篇は、「歴史は繰り返す」をテーマに治安維持法の復活の時代を警鐘している。まさに1985年に廃案になった「国家機密法(スパイ防止)」がゾンビのように約30年ぶりに息を吹き返した。「戦時下の監視体制に逆戻りする」危険性が本物になってきた。

★1939年には映画の世界では「映画法」が制定されて内務省の検閲官による脚本の審査が行われた。現在公開中の妹尾河童原作の映画『少年H』は公開禁止だろう。原作の段階で発禁本になる。なぜなら、妹尾家族にはキリスト教徒がいる。異教の存在でスパイ呼ばわりされても当たり前。周りは見て見ぬふりして生活するしかない。

★アメリカの少女が「はだしのゲン」に影響を受けて漫画家になった。ニューヨーク在住のレイナ・テルゲマイヤさん(36)は9歳の時、父からすすめられた英語版『はだしのゲン』を読んで「幅広い問題意識を持ち、周囲にもっと目を向けられるようになった。ショッキングな表現もあるが、読んでよかった。」と、思い起こしている。

★ドイツのメルケル首相は、現役の首相では初めてヒトラーが80年前に設置した最初のダッハウ収容所跡で花束を壁に立てかけて祈りを捧げ「深い悲しみと恥ずかしさを感じる」といい、「若者はドイツがどんな悲劇を起こしたか知らねばならない」と強調して歴史教育の重要性を訴えた。戦争責任をとらない日本はどうだろうか。

2013(平成25)年8月25日
「世界平和念仏」の日に 岳 重人
posted by 岳重人 at 16:13| Comment(0) | 日記