2013年12月21日

「武器輸出三原則の見直し」に思う……『鐘撞き人』からのメッセージ(23)

米国犯罪及びスパイ・アクションのレイティングは[G]で全年齢が鑑賞可である。
公共政策センターのダン・ロマー氏は「[PG-13]の映画にこれほど銃暴力がはびこっていることに不安を覚える。しかも銃使用が格好良く魅力的に描かれている」と、懸念を示す。これが連邦レベルの銃規制法案が一件も制定されない原因の一つなのだ。

★史上最悪の「特定秘密保護法」とセットの日本版NSC(国家安全保障会議)が、12月4日に発足した翌日には閣議で、「武器輸出原則」を見直すことを現政権は決めた。実はこれがアベノミクスの「第の矢」の隠れた意味だったことが明らかになった。つまり、軍需産業の銃器や兵器の輸出拡大に伴って経済界に貿易黒字を促す。

★<東北再生スケッチ>三部作の『鐘撞き人』第V部<愛と平和>篇には、Kenjiのホッホさんの便りの中で「武器輸出三原則」の歴史について触れている。「これは、共産圏、国連決議で禁止している国、紛争当事国への武器輸出を禁止する内容。1967(昭42)年4月21日、当時の佐藤栄作首相が衆議院予算委員会で言明しています」

★さらに、「1983(昭58)年1月14日、政府はアメリカの要請で武器技術の供与を決定。この時、野党はこの修正案に抗議の声をあげます。当時の中曽根康弘首相は8日後、レーガン米大統領に会い『日米は運命共同体』と表明し、2日後に問題発言が……。川柳風に<武器づくり これが景気の 下支え>が本当の経済なのでしょうか」

★ちょうど30年前の「日本列島は不沈空母」発言が、12月5日の「武器輸出禁止の見直し」で今また蘇る。「原則そのものが、なし崩し的になっていることです。2011年12月に、この原則を緩和し、安全保障上の協力関係のある国との武器共同開発を容認したが、『国際紛争の助長回避』の基本方針は堅持」が、さらに緩和されている。

★「政府は航空自衛隊の次期主力戦闘機として導入するステルス戦闘機F35の日本部品の対米輸出を三原則の<例外>として認める方針を固めました。異議あり!だ。周辺国との武力衝突が懸念されるイスラエルも導入予定だからです。」と、反対表明。が、閣議決定では「国際社会の安定になると見なされれば……」すべて禁止解除だ。

★まさにアベノミクスの「第三の矢」は世界紛争の火種になり他国民の命さえ奪う<地獄の矢>に成り果てるだろう。恐ろしいことだ。これは日本国憲法の前文にある「われらは、平和を維持し、専制と隷従、圧迫と偏狭を除去しようと努めてゐる国際社会において名誉ある地位を占めたいと思ふ」をかなぐり捨てる自殺行為である。

★日本の潜水艦建造技術は世界に比しても高い。原子力潜水艦は原子炉冷却装置の騒音が大きいが、通常動力型の日本の潜水艦は静音性があり、敵を探知するソナーの性能も優れている。原潜でない利点を最大限に生かした設計だ。輸出拡大は、量産による軍需価格の低下につながる。それは、平和憲法9条への挑戦だ。
違憲である。(岳 重人)


2013(平成25)年12月16日
「武器輸出三原則の見直し」の11日後に
posted by 岳重人 at 16:35| Comment(0) | 日記

「銃乱射事件1周年の追悼」に思う……『鐘撞き人』からのメッセージ(22)

学生時代にマンデラ氏に影響を受けたオバマ大統領は「危険を冒してでも理想に従って行動する力を示してくれた。法を変え、人々の心をも変えた。不可能に思える問題でも成し遂げられるとわれわれに思い出させてくれる」といい「歴史上の巨人」と称えた。雨降りしきるサッカー競技場で約9万5千人がマンデラ氏の偉業を偲んだ。

★ちょうど1年前の12月14日に全米を震撼させた銃乱射事件があった。コネチカット州ニュータウンのサディフック小学校の教師6名と児童20名が犠牲になった。
地元では小雪降る寒さの中、各地で教会の鐘が犠牲者の数だけの26回鳴らして慰霊式典もなく静かに黙とう。事件直後の銃規制強化の声は徐々に先細りになりつつある。

★米紙ウォールストリート・ジャーナルなどが最近実施した世論調査が物語る。
「銃規制を支持する」との回答が52%と、今年の2月の調査時61%を約10%も大きく下回ったことだ。銃規制反対の有力団体「全米ライフル協会NRA」の政治家へのロビー活動や反対議員には選挙不支持キャンペーンで圧力をかけ議論をさせないのだ。

★オバマ大統領は週末恒例の国民向けビデオ演説で「こうした悲劇を終わらせるために、われわれは変わらなければならない」と訴え、具体的には「危険な人物が簡単に銃を入手できないようにする必要がある。心配せずに子ども達を学校に送り出せる国に住みたいなら、努力を続けなければならない」と強調したが、いかに法を変えるか。

★アメリカ映画の中の銃を使った暴力的シーンを分析すると、銃規制の難しさが見えてくる。アメリカの13歳未満の子どもが鑑賞する際に親の指導・助言が必要な[PG-13」指定の映画で、オハイオ州とアーネンバーグ公共政策センターの調査に約30年間で3倍増、1985年以降の映画の94%に5分間以上の銃暴力シーンが含まれていた。

★例えば、11月に日本公開の2作品に観ると、『2GUNS』はマーク・ウォールバーグがデンゼル・ワシントンとの共演の中で「どうやったら任務中に撃たれないですむのか?」と元海軍SEAL部隊のテクニカル・アドバイザーの指南を受けるほどだ。まさに雨のように降り注ぐ弾丸をよける熱演を見せるかが、マークの真骨頂になる。

★『REDリターンズ』Retired(退職した)Extremely(超)Dangerouse(危険人物)は、世界滅亡の危機に、伝説のスパイが再び結集したキャッチコピー通りに、ブルース・ウィリス、ジョン・マルコビッチ、イ・ビョンホンの男優陣にキャサリン・ゼタ=ジョーンズ、メアリー=ルイーズ・パーカーの女優陣もみんな片手に銃を持っている。

★が、犯罪及びスパイ・アクションのレイティングは[G]で全年齢が鑑賞可である。
公共政策センターのダン・ロマー氏は「[PG-13]の映画にこれほど銃暴力がはびこっていることに不安を覚える。しかも銃使用が格好良く魅力的に描かれている」と、懸念を示す。これが連邦レベルの銃規制法案が一件も制定されない原因の一つなのだ。(岳 重人)


2013(平成25)年12月14日
「銃乱射事件1周年の追悼」の日に
posted by 岳重人 at 15:30| Comment(0) | 日記