2013年12月31日

「『美しい靖国』神社参拝」に思う……『鐘撞き人』からのメッセージ(27)

「実りの秋」に、現行憲法はアメリカが押し付けたものだと、自民党憲法改正の前に「特定秘密保護法案」を急ぐ。民主主義の国民をスパイに見立てて、戦前のようにお互いに監視させる社会状況をつくり、戦争ができる「普通の国」づくりに邁進する。キャロラインさんの父ケネディ氏は「自分よりも国民を優先するリーダー」なのだ。

★戦前回帰の『美しい国』安倍ボン、マンガ・アニメマニア麻生ボン、戦艦プラモマニア石破ボンとボンボン・ボンクラ・トリオによる暴走が始まった。「普通の国」をめざすボンボンのお遊びに付き合っていると、最後はすべてが破滅行為に繋がっていく。将来にはボンボン以外の格差社会での底辺層の子ども達が戦場へと駆り出される。

★以上は、キャロライン・ケネディ駐日大使の誕生日に寄せた論考である。まさに故ケネディ大統領とは真逆な「国民よりも自分を優先するリーダー」が、どんな災いをもたらし、国の進路を誤った方向へ強引に落とし込むかを危惧したからだ。そんな第二次政権一周年に強行した靖国神社参拝である。「不戦の決意」の談話は矛盾だ。

★「靖国神社への参拝については、残念ながら、政治問題、外交問題化している現実があります。靖国参拝については、戦犯を崇拝するものだと批判する人がいますが、私が安倍政権の発足した今日この日に参拝したのは、御英霊に、政権1年の歩みと、二度と再び戦争の惨禍に人々が苦しむことの無い時代を創るとの決意」を伝えた、

★天皇陛下が誕生日80年の<お言葉>との違いは歴然だ。官僚の作文に満ちた血も涙も感じられない用語の羅列に過ぎない。「日本の犠牲者は約310万人と言われています。前途に様々な夢を持って生きていた多くの人々が、若くして命を失ったことを思うと、本当に痛ましい限りです」の陛下の<哀悼の思い>に感銘した時との落差。

★「国民よりも自分を優先するリーダー」であることが安倍ボンの談話に明確に文章化されている。もし、「自分より国民を優先するリーダー」だったら、「二度と再び戦争の惨禍に人々が苦しむことの無い時代を創る」との決意を文頭に持ってくる。それが<幼稚で傲慢>な安倍ボンは「政権1年の歩み」を筆頭でワガママに強調する。

★キャロライン・ケネディ大使が代表する在日米大使館声明文にはこう厳しく要望する。「日本は大切な同盟国であり、友好国である。しかしながら、日本の指導者が近隣諸国との緊張を悪化させるような行動を取ったことに、米政府は失望している。…米国は、首相の過去への反省と日本の平和への決意を再確認する表現に留意する」と。

★「失望、落胆(がっかりする)」の”is disappointed”にはもっと強い意味がある。「(期待を)裏切る」「(計画などを)妨げる」と、実害を被る危険性を含んでいる。戦時中に「日本人は12歳」と揶揄された。「勤労感謝の日」の論考の結論を再録する。「いかに常識を知らない政治家が多いかを、すぐにキャロライン大使も痛感するだろう」(岳 重人)


2013(平成25)年12月27日
「第二次安倍政権1周年」の翌日に
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「天皇誕生日80年」に思う……『鐘撞き人』からのメッセージ(26)

作家の半藤一利さんが「国家の明日というのは不思議なもので、その時代に生きる人は案外わからないものなんですよ。これからは集団的自衛権の拡大解釈、そしてその先には憲法改正の動きが待っているのでしょう。しかし、そうならないように頑張るしかない」(『朝日』12月18日付)とインタビューで決意を語る。
共に連帯しよう。

★天皇陛下が傘寿(80歳を迎えられ、記者会見の<お言葉>に四半世紀の在位のご苦労が痛いほど伝わってくるものでした。「80年の道のりを振り返って、特に印象に残っている出来事は、先の戦争のことです。私が学齢(6歳)に達した時には中国との戦争が始まっており、その翌年の12月8日から」太平洋戦争への暴走を解雇された。

★「中国のほかに米国、英国、オランダとの戦争が始まりました」と、日本の軍隊が中国から南下していく過程で各国と全面戦争に巻き込まれていく状況を順次語られておられる歴史認識の確かさに、敬服せざるをえません。「終戦を迎えたのは小学校の最後の年(11歳)でした」と、一番多感な思春期を戦争の日々が重くのしかかる。

★「この戦争による日本人の犠牲者は約310万人と言われています。前途に様々な夢を持って生きていた多くの人々が、若くして命を失ったことを思うと、本当に痛ましい限りです」と、その痛切な思いを心に込めて追悼されておられる姿に陛下の慈愛の深さを感じました。銃後の生活で家族も離れ離れになった国民の目線で語られる。

★「戦後、連合国軍の占領下にあった日本は、平和と民主主義を、守るべき大切なものとして、日本国憲法を作り、様々な改革を行って、今日の日本を築きました」と、いかに日本国憲法を守ることこそが、日本人一人ひとりの責任だと進むべき決意を前にして、改めて天皇陛下を無視した憲法改悪の道を暴走する現政権に憤りを感じる。

★「戦争で荒廃した国土を立て直し、かつ、改善していくために当時のわが国の人々の払った努力に対し、深い感謝の気持ちを抱いています。また、当時の知日派の米国人の協力も忘れてはならないことと思います」と、あくまでも謙虚で常に感謝の気持ちを考えると、幼稚さと驕り高ぶる政治家たちよ!陛下の<お言葉>を心得よ。

★今から約10年前の2004年10月28日の秋の園遊会を思い出す。当時、東京都の米長教育委員が「東京都では日の丸・君が代を学校で周知徹底しています」と陛下に声をかけたところ、陛下は「(国旗・国歌について)強制でないことが望ましいですね」という<お言葉>で教育委員にやんわりと「説得より納得」を助言されたことだ。

★また四半世紀前の1989年1月9日、即位後朝見の儀で「皆さんとともに日本国憲法を守り、これに従って責務を果たすことを誓い、国連の一層の進展と世界の平和、人類福祉の増進を切に希望してやみません」と結ばれた。『成長福祉経済』から軍事経済』へ突進し「アメリカによる日本国憲法だ」と揶揄する政府は猛省すべきだ。(岳 重人)


2013(平成25)年12月23日
「天皇誕生日80年」の日に
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「新防衛大綱の軍事経済」に思う……『鐘撞き人』からのメッセージ(25)

2014年度から5年間の防衛予算が25兆円として毎年5兆円になる。
当然、産業界が防衛装備品関連への波及効果と武器輸出三原則の緩和に伴う需要増加を期待している。後半部の「共同開発・生産の推進」では、日本部品による次期主力戦闘機であるステルス戦闘機F35もアメリカから28機と高額購入・配備するわけだ。

★総額24兆6千7百億円で1兆2千億円の増額。これは戦前と同じ「軍事経済」路線だ。(1)総合的な防衛体制の構築で「実効性の高い統合的な防衛力を効率的に整備」する。特に、海上自衛隊を重点的に増強することになる。まず護衛艦は48隻から54隻で6隻増、最高額戦艦イージス艦は6隻から8隻と2隻も主要整備増強である。

★現在の「ひゅうが」型護衛艦は海上自衛隊所有のヘリコプター搭載護衛艦で、全長197mの巨体に最大11機のヘリを搭載できる。このうち3機を同時に離着陸させることができるために、災害時の捜索活動などに活用できる利点もある。一見すると空母を連想させる形状だが、VLS垂直発射式ミサイルランチャーの攻撃装備もある。

★護衛艦の中核をなす戦闘艦がイージスシステム搭載のイージス護衛艦だ。「あたご」型2隻、「こんごう」型4隻のイージス艦がステルス性に配慮した船体設計で運用されている。アメリカ製システムは電子的な指揮統制能力がものをいう。敵国等の情報収集とともに戦闘配置図で海域・空域をカバーする火器管制システムが組み込まれる。

★イージス艦の任務は艦隊そのものを守る防空戦闘にある。そんなイージス艦を舞台にしたアニメ映画『名探偵コナン〜絶海の探偵』が、この春に公開。劇場版シリーズ17作目になり「超国家機密・イージス艦が舞台の重厚溢れるスパイミステリー!コナンたち一行が参加していたイージス艦の体験航海は突如、謎の敵の襲来を受ける」

★キャッチコピーには「危険すぎる緊急ミッション!標的は日本全土!」とある。まさに<プライベート・アイ>によるイージス艦での偵察行為は、先に法制化された悪法『特定秘密保護法』で根底から国家機密を暴くことになりコナン君は逮捕されて、この冬公開の『ルパン三世VS名探偵コナン』の対決もありえなかったかも……。

★「各種事態の発生に際しては、政治の強力なリーダーシップで迅速かつ的確に意思決定を行い、地方公共団体、民間団体等とも連携を図りつつ、事態の推移に応じ、政府一体となってシームレスに対応し、国民の生命・財産と領土・領海・領空を確実に守り抜く」と『大綱』は位置付ける。日本版NSCに強力なリーダーシップを求める。

★作家の半藤一利さんが「国家の明日というのは不思議なもので、その時代に生きる人は案外わからないものなんですよ。これからは集団的自衛権の拡大解釈、そしてその先には憲法改正の動きが待っているのでしょう。しかし、そうならないように頑張るしかない」(『朝日』12月18日付)とインタビューで決意を語る。
共に連帯しよう。(岳 重人)


2013(平成25)年12月21日
「新防衛大綱」の4日後に
posted by 岳重人 at 18:37| Comment(0) | 日記

「初の国家安全保障戦略」に思う……『鐘撞き人』からのメッセージ(24)

史上最悪の「特定秘密保護法」とセットの日本版NSC(国家安全保障会議)が、12月4日に発足した翌日には閣議で、「武器輸出三原則」を見直すことを現政権は決めた。実はこれがアベノミクスの「第三の矢」の隠れた意味だったことが明らかになった。つまり、軍需産業の銃器や兵器の輸出拡大に伴って経済界に貿易黒字を促す。

★12月17日に日本版NSCと閣議で、外交・安全保障政策の指針「国家安全保障戦略」と国防の基本方針になる「新防衛大綱」、「中期防衛力整備計画」(中期防)を決定。案の定、経団連の米倉弘昌会長は「防衛力を支える防衛生産・技術基盤の維持・強化のため、将来ビジョンを示す戦略の策定が示されたことを評価する」と歓迎の表明。

★武器輸出三原則の緩和に対しても「防衛装備品の活用による平和貢献・国際協力や防衛装備品などの共同開発・生産の推進が可能となる具体的な制度の設計」を期待するとのコメントを発表した。「中期防」の「(3)防衛力の能力発揮のための基盤(5)防衛生産・技術基盤」の引用であり、総額24兆6千7百億円の増額だ。

★つまり、2014年度から5年間の防衛予算が25兆円として毎年5兆円になる。
当然、産業界が防衛装備品関連への波及効果と武器輸出三原則の緩和に伴う需要増加を期待している。後半部の「共同開発・生産の推進」では、日本部品による次期主力戦闘機であるステルス戦闘機F35もアメリカから28機と高額購入・配備するわけだ。

★<東北スケッチ>三部作の『鐘撞き人』第V部<愛と平和>篇では、読売新聞の戦争責任検証委員会による『検証・戦争責任T・U巻』(中央公論新社刊)を引用。そこでは、「昭和前期の軍事費の伸び」の図表を示した。今まで抑え気味だった平成の軍事費が、将来的に第二次安倍政権で大幅に伸びていくのは1937(昭12)年と同じだ。

★「この年に日中戦争が始まった。財政赤字はすでに対GNP比率で50%を超えていたが、太平洋戦争が始まった1941(昭16)年には100%に近づいた。わずか6年間だった。どちらの場合も、無理な圧力のために財政に重大な歪みが生ずる事態を広く国民に訴え、国民を味方につけ、新聞メディアも異論反論していれば……」と分析。

★さらに「取り返しのつかない15年戦争の道を事前に防ぐことができただろう。健全な社会は健全な民主主義によってのみ支えられる。つまり、財政民主主義がない民主主義もありえない。これは戦前の『軍事経済』と戦後の『成長福祉経済』とでは全く対照的に異なるのに、なぜ政治は懲りずに『同じ過ちを繰り返す』のか」と問い、

★「それは政治過程における対処の仕方がまるで戦前と同じで、日本は全く変わっていないからだよ」と結論付けている。また、「2010年に日本の政府債務の残高が、対GNP比率で敗戦前年の1944(昭19)年と同じ200%に達した」と、現在の政治状況に似ている。まさに「第三の矢」の標的とは「武器輸出三原則」緩和が自明の解なのだ。(岳 重人)


2013(平成25)年12月18日
「武器輸出緩和明記」の翌日に
posted by 岳重人 at 18:37| Comment(0) | 日記