2014年01月11日

「ある特攻隊・大戦果」に想う……『鐘撞き人』からのメッセージ(30)

48文字を冠して操縦者畢生の躾を説明した『操縦訓』がある。「い」何時も心は悠久と、「ろ」狼狽周章する勿れ、「は」派手と色気は死の一歩、とある。この中で「周章狼狽」がすべてを物語る。語源は、狽は必ず狼の背に乗って歩き、もし一方が離れると倒れてしまうことから、あわてふためく、うろたえ騒ぐ意になった、という。

★「に」任務終わるも気を緊めよ、「ほ」ほめられて上るな忘るるな、「へ」下手とぞ思え己が腕、と常に自戒する毎日だ。神風特別攻撃隊の偉大なる大戦果、然し此の蔭には並々ならぬ努力がしのばれる。死を最も最良の道として専心軍務に努力するは之真に男子の本懐なり。往け前線へ奮起、然して努力せよ」と、11月1日に記す。

★「と」飛び立つ前の下調べ、「ち」地味な操縦奥ゆかし、「り」離陸の故障真直ぐに、と続き、1944(昭和19)年11月3日には「明治節、8時30分より御真影奉拝式」を迎え、7日付には「自重せよ、自己、態度、反省せよ、日常生活。然して期するはその訓練に全力を傾注するに在り。一事が万事。一事成し得ずして何をか成らざらん」

★11月8日は朝から雨である。「第35回大詔奉戴日、部隊長殿訓示、体当たりの気魄を以って日常生活をなす。即ち我を消滅、以って公に盡すに在り。演習なし、三年前の本日を想起せよ」と体当たりの気魄を語り、晴れた翌日「山中鹿之助は『七難八苦』を与え給えと祈りたると言う」を引用しながら「苦を打開せよ」と叱咤激励している。

★1944年10月12日から16日にかけ、日本軍の基地航空部隊は台湾東方海上で米空母部隊を連日攻撃したが、なんら損害を与えることはできなかった。しかし、空母19隻を撃沈したと狂喜し、この幻の大戦果を大々的に大本営は発表した。日本軍は台湾沖航空戦で312機の航空機を失い、これ以降、航空作戦は不可能になっていく。

★「レイテの神風吹さぶ。愈々我々もその真っ只中に於いて戦艦に体当たりする訓練を今より鋭意当たらん」と11月18日付に記される。「ぬ」ぬかれば愛機に致される。「る」「ルーズ」と事故とは隣組、「を」思い切る時更に慎重、と日々の訓練から学んでいくが、大本営発表は「ルーズ」と泥まみれの「ウソ八百」で日本国民を壊滅させる。

★1944年10月23日から25日にかけ、レイテ沖海戦で日本軍最後の組織反攻的な軍事作戦も失敗に終わる。連合艦隊も事実上消滅した。11月25日付に「生前共に愉しみ、共に語らいし友、ああ我々唯心の内何の夢もなし。友よ、我も遠からぬ内には必ずゆくぞ。その時はまた大いに生前を偲ぼうではないか」と事故死した友を悼む。

★この同時期に神風特別攻撃隊が初の戦果を挙げていたことが、多くの若者たちを無駄死にさせる原因になっていくのだ。あの関大尉は「俺のような優秀なパイロットを特攻隊で死なせることは、戦争に勝てる道はない」とはっきり後世の私たちへメッセージを遺した。靖国神社の「特攻勇士を讃える」は何と偽りに満ちた慰霊碑なのか。(岳 重人)


2014(平成26)年1月3日
「三が日」の最終日に
posted by 岳重人 at 09:10| Comment(0) | 日記

「ある特攻隊員・操縦訓」に想う……『鐘撞き人』からのメッセージ(29)

ある特攻隊員の『日記』【1945(昭和20)年1月1日(月)天候晴】から引用しよう。「お雑煮を祝って新しき年の第一日を迎える。10時30分より遥拝式挙行。……時のすぎるは早し。我々の行く先の事を此の元旦に於いて思う時、尚一層の努力と研究の要あるを痛感す。本年度は不言実行以ってその本分の達成に当たらん」と決意を語る。

★靖国神社には、2005(平成17)年6月28日に建立された『特攻勇士を讃える』石碑があり、海軍航空隊の関行男大尉の名前も見受けられる、といった。(前回メッセージ28)終戦10か月前の1944年10月、爆弾を搭載した零戦がアメリカ艦隊へ体当たり攻撃を敢行した。この特攻攻撃の第1号の指揮官が海軍兵学校卒の関行男大尉(戦死後中佐)なのだ。

★出撃前に海軍の報道班員に語った、という言葉に本音があらわれていて、すがすがしい。「僕は天皇陛下のためとか、日本帝国のためにとかで行くんじゃない。最愛のKAのために行くんだ。命令とあらば、止むを得まい。……僕は彼女を護るために死ぬんだ。最愛の者のために死ぬ。どうだ、素晴らしいだろう」と、胸を張ったそうだ。

★故郷の四国で母ひとり息子一人の行男は結婚したばかりだった。KAは妻を意味する海軍の隠語なのだ。神風特攻の先駆けになった関大尉は戦死後に中佐として昇進し軍神と崇められた。一人息子を特攻で失った母は郷里の「母親の鑑」ともてはやされたが、戦後は一転して「鬼の母」と石をぶつけられるほどに邪魔者扱いされた。

★48文字を冠して操縦者畢生の躾を説明した『操縦訓』がある。「い」何時も心は悠久と、「ろ」狼狽周章する勿れ、「は」派手と色気は死の一歩、とある。この中で「周章狼狽」がすべてを物語る。語源は、狽は必ず狼の背に乗って歩き、もし一方が離れると倒れてしまうことから、あわてふためく、うろたえ騒ぐ意になった、という。

★奇しくも安倍ボンの靖国神社参拝は世界の日本ウォッチャーを「周章狼狽」させた。その一人米外交問題評議会上級研究員シーラ・スミスさんは「私もショックを受けました。安倍氏は、参拝の日本にとってのコストを理解し、代わりに中国や韓国に対する外交的な努力に取り組むと考えていましたが、私は間違っていました。……『安倍首相は現実的な見方をする人物で、心配する必要はない』と、安倍氏と日本を擁護する側に立っていたのです。……安倍氏の行動は合理的な政策目標の追求よりも、イデオロギー的な動機に基づくという見方が増えるかも」と、国家主義に疑念を抱く。

★今年の干支「」の名言を3つ。どんな忠告をしても、耳を貸さない「耳東風」で、2年目に入って50%の「下評」を維持できても、やはり経済のアベノミクスよりも『特定秘密保護法』のようなアベノリスクにひた走る地金が出てきた。これを「脚をあらわす」という。まるでアベヒトラーの特定秘密顔を露骨に現わしたようだ。(岳 重人)


2014(平成26)年1月2日
「三が日」の2日目に
posted by 岳重人 at 09:09| Comment(0) | 日記