2013年05月12日

「みどりの日」に思う……『鐘撞き人』からのメッセージ2

1. 「持続化可能の開発って何?」を一年前のこの口に<東北再生スケッチ>三部作の『舟曳き人』第U部<核と未来>篇でまとめている。「現代の世代が引き継いだ遺産を、少なくとも同じ程度のものだけは次世代に引き継ぐことであり、生態系のもっている扶養再生能力の範囲内で生活しながら、生活の質を向上させること。」

2. 今、世界文化遺産登録で話題になっているのが富士山だ。『種蒔き人』第T部<夢と希望>篇で、葛飾北斎が「冨嶽三十六景」で日本文化に根差した想いを<ホッホとKenjiの往復書簡>を談論風発した。「信仰・芸術の遺跡群」として世界的に認められるのは、ホッホさんが崇敬したPereタンギーがとても驚喜しているだろう。

3. 『タンギー爺さん』の頭の辺りに<フジヤマ>を描いたのは日本人の信仰心にあやかって<後光>をイメージしたものだった。江戸時代は<不二山>信仰がブームになったほどで、庶民にとっては北斎の「冨嶽三十六景」が、評判だったことでがわかる。彼の文字絵の教本には「大八に小八重ねてふじのやま」と三峰を象徴させている。

4. 今回、6月に正式登録される富士山は、以前は国内候補で「周辺環境がゴミだらけで自然遺産にふさわしくない」とされた。『鐘撞き人』第V部<愛と平和>篇では「伊達正宗は<甲斐の富士>をいつ見たのか」が話題になっている。宝永4(1707)年に大爆発して富士四湖が富士五湖になった。まだ10万年の若い活火山なのだ。

5. 北斎や広重の浮世絵に滲む江戸時代の<風景と風情>を多くの人々に再認識してもらうには文化遺産登録は、ちょうどキャンペーンにもいい。だから、もう一度、江戸を再発見する大事業が必要。あまりにも味わいのない景色になりつつあるから……。広重浮世絵に刺激された『花咲く梅の木』『雨中の橋』の模写を見直してほしい。

6. 練馬区立南田中図書館での≪環境映画≫上映会第12弾『流〜ながれ〜』はそんな問題意識を啓発する秀作である。製作・撮影の能勢広撮影監督と編集も兼ねた村上浩康監督によって中津川を10年間≪飽くなき探究心≫で追及された努力に頭が下がる。
カワラノギクもヒゲナガカワトビケラも大自然の生態系の中で生かされている。

7. また、「土用の丑」の日が消える? ワシントン野生動物植物取引条約でヨーロッパウナギとアメリカウナギが絶滅状態だ。ニホンウナギも大同小異だ。その原因とは、古里の川を遡るウナギが護岸工事や堰、そしてダムのため産卵する場所が激減したからだ。だからこそ「生態系のもっている扶養再生能力の範囲内」生活を大事にしたい。
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2013(平成25)年5月4日 「みどりの日に」 岳 重人
posted by 岳重人 at 06:12| Comment(0) | 日記
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