学生時代にマンデラ氏に影響を受けたオバマ大統領は「危険を冒してでも理想に従って行動する力を示してくれた。法を変え、人々の心をも変えた。不可能に思える問題でも成し遂げられるとわれわれに思い出させてくれる」といい「歴史上の巨人」と称えた。雨降りしきるサッカー競技場で約9万5千人がマンデラ氏の偉業を偲んだ。
★ちょうど1年前の12月14日に全米を震撼させた銃乱射事件があった。コネチカット州ニュータウンのサディフック小学校の教師6名と児童20名が犠牲になった。
地元では小雪降る寒さの中、各地で教会の鐘が犠牲者の数だけの26回鳴らして慰霊式典もなく静かに黙とう。事件直後の銃規制強化の声は徐々に先細りになりつつある。
★米紙ウォールストリート・ジャーナルなどが最近実施した世論調査が物語る。
「銃規制を支持する」との回答が52%と、今年の2月の調査時61%を約10%も大きく下回ったことだ。銃規制反対の有力団体「全米ライフル協会NRA」の政治家へのロビー活動や反対議員には選挙不支持キャンペーンで圧力をかけ議論をさせないのだ。
★オバマ大統領は週末恒例の国民向けビデオ演説で「こうした悲劇を終わらせるために、われわれは変わらなければならない」と訴え、具体的には「危険な人物が簡単に銃を入手できないようにする必要がある。心配せずに子ども達を学校に送り出せる国に住みたいなら、努力を続けなければならない」と強調したが、いかに法を変えるか。
★アメリカ映画の中の銃を使った暴力的シーンを分析すると、銃規制の難しさが見えてくる。アメリカの13歳未満の子どもが鑑賞する際に親の指導・助言が必要な[PG-13」指定の映画で、オハイオ州とアーネンバーグ公共政策センターの調査に約30年間で3倍増、1985年以降の映画の94%に5分間以上の銃暴力シーンが含まれていた。
★例えば、11月に日本公開の2作品に観ると、『2GUNS』はマーク・ウォールバーグがデンゼル・ワシントンとの共演の中で「どうやったら任務中に撃たれないですむのか?」と元海軍SEAL部隊のテクニカル・アドバイザーの指南を受けるほどだ。まさに雨のように降り注ぐ弾丸をよける熱演を見せるかが、マークの真骨頂になる。
★『REDリターンズ』Retired(退職した)Extremely(超)Dangerouse(危険人物)は、世界滅亡の危機に、伝説のスパイが再び結集したキャッチコピー通りに、ブルース・ウィリス、ジョン・マルコビッチ、イ・ビョンホンの男優陣にキャサリン・ゼタ=ジョーンズ、メアリー=ルイーズ・パーカーの女優陣もみんな片手に銃を持っている。
★が、犯罪及びスパイ・アクションのレイティングは[G]で全年齢が鑑賞可である。
公共政策センターのダン・ロマー氏は「[PG-13]の映画にこれほど銃暴力がはびこっていることに不安を覚える。しかも銃使用が格好良く魅力的に描かれている」と、懸念を示す。これが連邦レベルの銃規制法案が一件も制定されない原因の一つなのだ。(岳 重人)
2013(平成25)年12月14日
「銃乱射事件1周年の追悼」の日に
2013年12月21日
「銃乱射事件1周年の追悼」に思う……『鐘撞き人』からのメッセージ(22)
posted by 岳重人 at 15:30| Comment(0)
| 日記
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