2013年12月31日

「新防衛大綱の軍事経済」に思う……『鐘撞き人』からのメッセージ(25)

2014年度から5年間の防衛予算が25兆円として毎年5兆円になる。
当然、産業界が防衛装備品関連への波及効果と武器輸出三原則の緩和に伴う需要増加を期待している。後半部の「共同開発・生産の推進」では、日本部品による次期主力戦闘機であるステルス戦闘機F35もアメリカから28機と高額購入・配備するわけだ。

★総額24兆6千7百億円で1兆2千億円の増額。これは戦前と同じ「軍事経済」路線だ。(1)総合的な防衛体制の構築で「実効性の高い統合的な防衛力を効率的に整備」する。特に、海上自衛隊を重点的に増強することになる。まず護衛艦は48隻から54隻で6隻増、最高額戦艦イージス艦は6隻から8隻と2隻も主要整備増強である。

★現在の「ひゅうが」型護衛艦は海上自衛隊所有のヘリコプター搭載護衛艦で、全長197mの巨体に最大11機のヘリを搭載できる。このうち3機を同時に離着陸させることができるために、災害時の捜索活動などに活用できる利点もある。一見すると空母を連想させる形状だが、VLS垂直発射式ミサイルランチャーの攻撃装備もある。

★護衛艦の中核をなす戦闘艦がイージスシステム搭載のイージス護衛艦だ。「あたご」型2隻、「こんごう」型4隻のイージス艦がステルス性に配慮した船体設計で運用されている。アメリカ製システムは電子的な指揮統制能力がものをいう。敵国等の情報収集とともに戦闘配置図で海域・空域をカバーする火器管制システムが組み込まれる。

★イージス艦の任務は艦隊そのものを守る防空戦闘にある。そんなイージス艦を舞台にしたアニメ映画『名探偵コナン〜絶海の探偵』が、この春に公開。劇場版シリーズ17作目になり「超国家機密・イージス艦が舞台の重厚溢れるスパイミステリー!コナンたち一行が参加していたイージス艦の体験航海は突如、謎の敵の襲来を受ける」

★キャッチコピーには「危険すぎる緊急ミッション!標的は日本全土!」とある。まさに<プライベート・アイ>によるイージス艦での偵察行為は、先に法制化された悪法『特定秘密保護法』で根底から国家機密を暴くことになりコナン君は逮捕されて、この冬公開の『ルパン三世VS名探偵コナン』の対決もありえなかったかも……。

★「各種事態の発生に際しては、政治の強力なリーダーシップで迅速かつ的確に意思決定を行い、地方公共団体、民間団体等とも連携を図りつつ、事態の推移に応じ、政府一体となってシームレスに対応し、国民の生命・財産と領土・領海・領空を確実に守り抜く」と『大綱』は位置付ける。日本版NSCに強力なリーダーシップを求める。

★作家の半藤一利さんが「国家の明日というのは不思議なもので、その時代に生きる人は案外わからないものなんですよ。これからは集団的自衛権の拡大解釈、そしてその先には憲法改正の動きが待っているのでしょう。しかし、そうならないように頑張るしかない」(『朝日』12月18日付)とインタビューで決意を語る。
共に連帯しよう。(岳 重人)


2013(平成25)年12月21日
「新防衛大綱」の4日後に
posted by 岳重人 at 18:37| Comment(0) | 日記
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