2014年01月31日

「新・教育基本法」に年齢制限を思う……『鐘撞き人』からのメッセージ(47)

すでに触れた、1・映画の区分4つが関門だった。「G」年齢にかかわらず誰でも観覧できる。「PG12」12歳未満の年少者には親の指導・助言が必要だった。悪しきレイティングが「R15+」15歳以上、「R18+」18歳以上と成人映画指定だ。その理由に「未成年者の心身の成長に応じた学校教育の年齢に対応する階層的な構造を持つ」がある。

★第一次安倍政権の時期に学校教育で『日本を、取り戻す。』の法律が完結していた。それは「教育基本法」改正だ。1947年教育基本法から約60年後の2006(平成18)年に、教育現場の反対を強引に押しつぶして「改悪」教育基本法を成立させている。その中で、第6条(学校教育)には第2項が追加された。それを分析すると見えてくる。

★「教育の目標が達成されるよう、教育を受ける者の心身の発達に応じて、体系的な教育が組織的に行わなければならない」と、先の映画倫理綱領と非常に似ていることが分かるだろう。2006年教育基本法の3年後に映画倫理綱領が制定されている。冒頭に「次世代を担う未成年者がその成長に際し対応を誤ることのないよう配慮した」

★そして3・未成年への配慮として(1)年齢に対応した観客の権利を尊重し、その成長を阻害しないよう留意する。(2)年齢層に対応して推奨しうる映画を選定するため、映画倫理委員会委員長の諮問機関として「年少者映画審議会」を設ける、と規定。そこで2000年4月の改訂から約10年後の09年4月に新改訂が加えられたわけだ。

★「年少者映画審議会規定」の5・推薦の対象と推薦映画選定基準で、(2)推薦の選定基準の5つを見てみよう。ア)生命の尊さを自覚させ、愛情をはぐくむ、イ)行動規範を身につけ、倫理観・正義感を高める、ウ)社会的視野を広げ、他者への想像力を醸成する、エ)知識・教養を養う、オ)芸術への理解と感覚を培う、とある。

★ここで年少者とは18歳未満の者をいう。新・教育基本法には第2条「教育の目標」が5項目追加された。−幅広い知識と教養を身に付け、真理を求める態度を養い、豊かな情操と道徳心を培うとともに、健やかな身体を養うこと、とあるように第1項だけでも、先の選定基準が教育基本法をベースに決定されていることが明確である。

★6.審査の方針も検討しよう。年齢層別に設定した「区分」のいずれかに分類するに際しては、以下の要領で行う。(1)いかなる主題がどのように表現されているか。(2)各場面でどのような題材が用いられ、それが映像の流れの中でどの程度まで刺激的、又は抑制的に描かれているか。つまり表現法と各シーンの流れがチェック対象になる。

★そして最後に、(3)作品の全体像が観客にもたらし得るメッセージ及び心理的な効果などを総合的に判断する、と作品の全体像が審査されるわけだ。綱領筆頭に1・表現の自由がある。「表現の自由は、映画の製作と上映にたずさわるすべてのものにとって、最も重要な権利である」を、映倫維持委員会は守り続ける責務があるだろう。(岳 重人)


2014(平成26)年1月24日
「初地蔵」の日に
posted by 岳重人 at 22:59| Comment(0) | 日記
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